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2019.12.10 出演/登壇

ForbesJAPAN /「挑戦者が湧き出る社会」を目指す 出井伸之の新構想が始動 記事掲載されました

Forbes JAPAN 12月6日に掲載されました。

■「挑戦者が湧き出る社会」を目指す 出井伸之の新構想が始動

https://forbesjapan.com/articles/detail/31077

元ソニーCEOの出井伸之が新たな「冒険」に踏み出した。11月29日、代表理事を務めるアジア・イノベーターズ・イニシアティブは、スタートアップ創出と企業変革の運動「アドベンチャービレッジ」の始動を宣言。ローンチイベントを行った。


このアドベンチャービレッジは、大企業やVC、エコシステムビルダーらを連携させ、社会課題の解決に挑むスタートアップや新規事業を支援する取り組み。世界都市である東京を拠点に、イノベーションが起きやすくする土壌そのものを日本に創出し、「挑戦者が湧き出る社会づくり」を目指す。


プロジェクト発足の背景

出井はなぜいまこのような活動を始めようと考えたのか。発足の背景について、壇上に立った出井は「日本はプラザ合意の通貨戦争の敗北、IT革命への乗り遅れ、バブル崩壊という『3つの敗戦』を経験し、経済的に厳しく長い冬の時代を過ごしている」と語り始めた。


「しかし、新しい技術によるパラダイムシフトが起き始め、アジアは春の時代に突入しようとしています。この2つのチャンスを目の前にしたいまこそ、日本は社会変革を起こすべきだと考えます。ベンチャーや大企業が活発に動ける社会をつくること。凍りついた日本を溶かすような熱い思いとアクションが必要です」


アドベンチャービレッジが第一の目標として掲げるのが、「失敗を恐れずに新しいことに挑戦する価値を認める社会をつくること」だ。さらに、東京ベイエリアを世界有数のスタートアップエコシステムの拠点とすることを目指し、起業家やエコシステムビルダーがつながる場を提供する触媒としての役割も担っていく。また、海外ネットワークの拡大と連携にも注力し、社会運動としての盛り上がりをつくる大規模イベントも開催予定だ。


海外から見た日本発ベンチャーの可能性

イベントには、ジェリー・ヤン(Yahoo!共同創業者)、ステファニー・ホスピタル(OneRagtime Founder&CEO)も登壇。「日本発のベンチャーには世界を変える可能性が十分にある」と述べ、アドベンチャービレッジの構想に賛同した。

「いまの時代、アントレプレナー精神あふれる社会運動をつくり出すことは必要不可欠です。私は日本発のスタートアップが成功するには3つの方法があると考えます。1つはグローバルマーケットを考えること。2つめはローカルでディープなサービスを突き詰めること。そして3つめは5GやAIなどの技術革新を活用すること。自分たちが一足飛びに飛躍できる可能性があると信じることが何より重要です」(ジェリー・ヤン)

「起業家精神はとても大切。なぜなら、社会や世界を変える自由を手に入れられるから。私はアントレプレナーを育てるには、4つの柱が大切だと考えています。1つは教育、2つめは国家や政府が経済を解放すること(規制緩和)。3つめは適切なファイナンスパートナーを見つけること。そしていちばん大切な4つ目の柱は、自信を持つことです」(ステファニー・ホスピタル)

Giverの役割とは何か

では、アドベンチャービレッジが目標とする「挑戦」の価値を認める社会土壌はどう育てればいいのか。そのためにはまず「人に惜しみなく与えるGiver(ギバー)の精神が重要だ」と、アダム・グラント著『GIVE&TAKE「与える人」こそ成功する時代』の翻訳監修を務めた楠木建(一橋大学教授)は話す。


「アダム・グラントは著作の中で人間を3つの種類に分けました。それがGiver(ギバー)、Taker(テイカー)、Matcher(マッチャー)です。Giverとは、与えるときに見返りを期待せず惜しみなく与える人のこと。なぜ彼らがひたすら与えるかというと、対象を面白いと思っていたり、価値があると感じているから。ぜひGive&Givenの精神でアドベンチャービレッジにかかわってほしい」


続く第二部の基調パネルディスカッションでは、「新しい事業モデルの創出と Giverの役割」をテーマに、安宅和人(慶應義塾大学教授、ヤフーCSO)、松本大(マネックスグループ取締役会長・代表執行役社長)、水野弘道(国連責任投資原則理事・年金積立金管理運用CIO)、出井が登壇。谷本有香(Forbes JAPAN副編集長)がモデレーターとなり、議論を深めた。


Giverの役割について松本は「スタートアップを育てるのに必要なのは、資金だけではない。経験やマーケティングのノウハウ、ネットワークを利用させるなど、いろいろな『Give』の形があるだろう。日本はこのGive自体の選択肢が少ないように思える。増やすための仕組みが必要だ」とコメント。


続いて水野は、「見返りを期待せずに与えるというGiver精神そのものは、投資家のリターンを最大化する資産運用側の人間にはマッチしない考え方だったかもしれない。しかしいまは『金儲け』と『社会貢献』の境目は曖昧になり、それらをブリッジするようなダイナミックな変化が起こっている」と分析した。


日本が抱えるディープイシューを解決へ

「日本は他国と比べてディープイシューが見つけにくい社会だが、これからのスタートアップはどんな課題に注目すべきか」という問いかけに、安宅は「やるべきことは山ほどある」と会場を盛り上げ、持論を述べた。


「まずは世界をアップデートする課題がどんなものか明確にするべき。環境省の2100年予測によれば、東京の夏の気温43度になる。台風は風速90メートルにもなるという。ということは、日本はこれから街も家もつくり直さなければならないフェーズにきていると言えるだろう。すぐ目の前に、私たちが超絶ディープな気候変動の問題を抱えているのは事実であるとともに、この分野が巨大産業になることは間違いない。


さらに、ダイバーシティを大切にしたスーパーチームをつくるべきだろう。日本の国会議員のうち女性はわずか10.1%。ケニアでは15%であるのを見ても、先進国では圧倒的ボトムだ。多様性こそが私たちを強くし、新たなアイデアを生む。先日のラグビーを見ていても明らかだ。


また変人密度の問題もある。小学校を中退させられたエジソンのように、いまの日本の教育制度からはドロップアウトしてしまうような世界を変え得る天才アウトライヤーをどう支え、育てていくのか。このように少し考えただけでも、我々には取り組むべき課題が山ほどある。とにかくやるしかない」


こうした課題を解決するには、常識を一変させるような新しいビジネスモデルや革新がどうしても必要だ。また彼らを支えるVCや大企業、そしてエコシステムビルダーといった「Giverの存在」が連携し、大きなうねりとなって社会を変えていくことができれば、日本の長い冬の時代も終焉を迎えるだろう。


アドベンチャービレッジの取り組みは、イノベーティブな「冒険」ができる社会への第一歩となるのか。これからの活動が期待される。

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https://forbesjapan.com/articles/detail/31077